TENTH最終週を見に行ったの話。
脳みそが新鮮なうちにレポを書いとこうと思う。
1/25 1330- TENTH @日比谷シアタークリエ
推しが出演とのことで見てきた。最強寒波やばいかったっす。
TENTHはシアタークリエが十周年ということでちょっとしたお祭り公演。
二部構成になっていて、一部はクリエで上演されたミュージカルのダイジェスト版、二部は別のミュージカルからいくつか曲を持ってきてガラコンサート。
3週間の公演中、週替わりでそれぞれ作品を紹介(もしくは懐かしむ)といった体。
あー楽しかったー!
全力でネタバレしていくスタイルなので、お嫌な方はブラウザバックプリーズ。そして例のごとくニュアンスで書いてるので間違ってる箇所はあると思う。どんまい。
第1部ダイジェスト版「この森で、天使はバスを降りた」
生音にまず喜ぶ。
生演奏!わーい!贅沢!
刑務所から出たばかりの主人公・パーシーが、とある田舎町にやってくるところから物語が始まる。
いきなり元受刑者が主人公、そしてだいぶやぐされてるとあって、なかなかパンチが効いてる。
舞台となるギリアドには「何にもない」。
かつては採石場として栄えていたらしいが、今では排他的な、よくある人のいない田舎町だ。
「あてはないけどバスで行こう
見知らぬ道を 満月は導いてくれる」
世話になる家主兼雇い主は可愛げのない愛想の悪いばあさんだし、噂好きなおばさんはすぐに悪い噂を流すし、過去にこだわる昔気質の男はよそ者のパーシーを除けようと躍起だし、その男の妻は自分の名前すら言いにくいほどに抑圧されているし、好意的に接してくる若者は外で傷ついてきた者へ外の憧れを語るし。
一緒くたにギリアドという片田舎に押し込められて、町に唯一の食堂である、スピリットファイア・グリルで顔を合わせる。
「どうなる? どうする?
きっと何かが起きる」
対比の物語だなと思った。
よそ者のパーシーが美しい森を愛し、地元の人々はそこに何の価値も見出さない。
過去に疲れて森を求めて外からバスで来たパーシーに、自分の未来のために森を売って外へ列車で行く夢を語るジョー。
何も語ろうとしないハンナと、有る事無い事言いふらすエフィ。
何も持たないが自由を手に入れたパーシーと、夫は愛情を示すものの何もさせてもらえないシェルビー。
消えたイーライと、イーライを神格化し理想を語り続けるケイレブ。
過去の栄光にすがりつくケイレブと、過去を忘れたふりをするハンナ。
そして母子の物語でもある。
そもそも主人公のパーシーが刑務所に入ったのは、義理の父に妊娠させられた挙句誰にも言うことができず、さらにその義理の父に暴行を振るわれ子が流れてしまった、と言うことが発端(しかも罪状はその義理の父をカミソリで滅多刺しにして殺した、というやばいヘビーさ)。
その話を聞いたシェルビーは、友、あるいは母のように、泣くパーシーに静かに寄り添う。
最初はおどおどしていたシェルビーが、パーシーとその友情、そして変化した環境に触発されてどんどん開花していく様がとても好感。
「ひとりじゃないの 変われるのよきっと」
そしてイーライ・ハンナ親子。
華々しく戦争へと送り出され、今まで行方不明(戦死)ということになっていたイーライは、実は生きて戻ってきていた。しかも逃亡兵として、名を明かさず森で暮らしていた。
息子が戻らぬ悲しみで死んだと言われていたハンナの夫は、実は逃げ帰ったイーライを許さず、失意のうちに死んだのだったと。
ハンナは息子を追い出す夫を止めなかったことを悔いていて、そしてイーライはまだ母親は許していないと考えていて。
「この月を見つけて 帰る場所はここ」
やさぐれていたパーシーが明るく振る舞えるまで、自分の名前すらまともに言えなかったシェルビーが意思表示をして夫と喧嘩ができるまで、過去に固執するケイレブが見せかけの理想を捨てられるまで、「何もない」ギリアドに全てがあるとジョーが気づくまで、ハンナとイーライが向き合えるようになるまで。
傷ついた人々の傷が、癒えるまで。
「光よ照らして」
その物語は華々しくなく、そして派手ではない。
しかし優しくて、ちょっぴり感傷的になる、そんな心動かされる愛おしいものだった。
面白かった!ありがとうTENTH!
強いて言うなら前後の説明のない演技(けどまあ理解はできるからカットされたのだと推測)が見たいので、フルバージョンの再演超希望!!
皆さん好演で誰が一番とも言いがたいけど、坂本真綾さんの印象は変わった!
今まで声優としての顔しか知らなかったのが悔やまれる…!
役としては食堂の三人娘(?)がとても良かったなあ。手紙がいっぱい来て喜んでるシーンの可愛らしいことったら。
テーブルクロスを暗い地味な色から明るい花柄に掛け替えるシーンが個人的にお気に入り。
それとパーシーの最後のソロナンバー、とても印象的だった。
「抱えてる 心の闇
底なしの 谷に似ている
わかってる あたしの罪は 償えない
消せはしない」
(流石に覚えてないのでググったら出て来たやつ)
ギリアドに住む人々を変えたパーシーだけど、心には深い闇を抱えてる。
だから
「光を照らして Shine」
なんだよね。自ら光り輝くことはないと、思ってしまっている。
演劇の報われエンドではジョーとくっつくのかイーライとくっつくのか、はたまた他の選択肢があるのか。
その後のパーシーが気になる終わり方だった。パーシーは自分の光を見出すことができるのだろうか。
個人的に、終わりを迎えてなお続きが気になる物語というのは良作だと思ってる。
舞台演出も上記のシーンが印象に残ったな。
イーライに導かれて、パーシーが秋の美しい紅葉を、朝日の中で見る。
その朝日の表現が素敵だった。
秋だからと単純に黄色やオレンジだけではなくて、夜の名残である青や、朝日の表現としての赤で、森の木々は虹色に輝いていて。
パーシーの目にはこう見えたのだろうなあ。本当に綺麗だった。
あと、終盤につれて客席から涙ぐんで鼻をすする音がよく聞こえていた。
泣かせる演技ってのは、いいよねえ…。
第2部ガラコンサート「RENT」「ZANNA」
15分ほどの休憩を挟んで第2部ガラコン。
セトリはこちら。
RENTもZANNAも残念ながら未見。
コンサートなのでさらっと流しておこうかな。
「RENT」
RENTメンバーみんな歌うますぎてやばい。出演のどなたかが「RENTは半端なくエネルギー使う」とツイートしていたのも納得の熱量!
すっごいなこれ。こんなに短いガラコンでこれとなると、本編どうなるんだこれ!見たいー!
気になった方は宮本美季さん(アルトボイスカッコよい)、米倉利紀さん(歌声とビジュアルがストライク)。
それとソニンさん。見たのテレビ以来だったんだけどすごいパワーだった。すさまじすぎておばちゃん呼ばわりされてたw
「ZANNA」
原色が眩しい衣装。推しさん原色よく似合う。しつこいどピンクとか。
ZANNAはあらすじを知らない人も多いだろうといっぱい解説してくれた。ありがとう。そこまでいくともうネタバレどころじゃないよ喋ってていいのか!?とも思いはしたけど。
まあいいか。
ZANNAはコメディなんだそうで、キャストさんも全体的にゆるい雰囲気でとても楽しげだった。
ZANNAで一番気になったのは田中ロウマさん。ビジュアルからしてやばい。腕むきむきなのがノースリーブなのでよくわかる。ツーブロの刈り上げ強めでピンクだし。腹面にはでかいZがキラキラとしている。やばい。
そして歌声は、とても優しくて柔らかなお声。ギャップ萌えってやつね把握。
ガラコンはRENT「Take Me Or Leave Me」(ソニン、宮本美季。とってもパワフル!殴り愛)、ZANNA「いつか来るかもしれない日」(田中ロウマ。 穏やかに、切々と、)、そしてRENTの作者であるジョナサンラーソン作詞作曲「Love Hearts」(ガラコン出演者全員。たまたま観劇した1/25はジョナサンの命日だったんだそうで)がとても良かった。
あーーまた見たい。
本当にTENTHありがとう。
TENTHで演った作品の数々、再演お待ちしてます!